アウトリーチ事業(糸魚小学校)  ※2005年度以降はこちら

 これまでの小学生を対象にしたアウトリーチは体験するタイプと、見て楽しむタイプに分かれた。いずれの方法でも、アートは楽しいということが実感できればまずはワンステップを上がったといってもいいだろう。プロのアーティストによる表現を身近で見ることはまずは驚きから始まる。歌手が歌えば教室を震わせるように通る声。1mほどの距離でそれを体感できることは、いつか感動が形になる種を蒔いたようなものだろう。
 学校のカリキュラムとのすり合わせや、担任が興味を持っているかどうかということでも協同していくときには結果が違う。すぐには結果の出ないことではあるが、純粋な子どもたちの驚き、笑顔の先にあるものを信じてアートを届けたい。

2003年度

●糸魚小学校学芸会支援事業・音楽舞踏劇(再掲)
 小学2年生の担当教諭からの要望で、オリジナル台本による音楽の混じった劇の制作を支援した。
 芝居のプロットを教諭が示し、高橋聡氏に書下ろしを依頼した。劇中の音楽は朝日中学校音楽教諭の工藤昌晴氏に依頼、その歌唱指導もあわせて依頼した。
 稽古途中で斉藤千鶴氏を学校へアウトリーチし、直接子供たちと芝居作りを体験する機会を作った。成果は10月26日に糸魚小学校体育館で開催された学芸会で披露された。










2004年度

●音楽
  アーティスト:小林厚子(藤原歌劇団・ソプラノ)    瀧田亮子(ピアノ伴奏)

 小規模校である糸魚小学校には音楽教諭が配置されていない。ここにプロのアーティストをアウトリーチし、音楽の楽しさなどを実感できる機会を提供した。ここでの取り組みは学芸会などでの発表に繋がった。

6月15日 関係者(学校、アーティスト、ホール)による打ち合わせ。学校側から現状についてアーティストに説明し、授業の目的などが話し合って確認された。小林氏から全体の流れなどについてアイディアや要望を出してもらい、当日のプログラムを立てた。
6月16日 09:35〜10:20 2校時を通してワークショップを開催。対象は全校生徒73名。イタリア歌曲などを含むミニコンサートに続いて「おもちゃのチャチャチャ」の指導。子どもたちに簡単な打楽器を持たせ、手拍子を取りながら全員で歌った。この曲は授業でも取り上げられている曲である。
      10:40〜12:15 5年生及び6年生25名を対象とした歌唱指導。対象となる曲は「旅立ち」「全てが僕の力になる」。この曲は学芸会での発表、町村交流先での発表が予定されている。声を出すための姿勢や響かせ方などを丁寧に説明しながら小返しで歌ううちに児童の声がひとつにまとまっていった。




●ダンス
  指導者:伊藤素子(スタジオセイビ・札幌市)

 学芸会に向けて4年生がダンスを披露したいという要望が担任を通してあり、稽古期間も短いことから簡単なダンスの組み合わせで構成することとしたが、レッスンの過程で少しハードルの高い作品作りを児童たちが望み、これに応えるように「見せる」ダンスの振り付けとなった。稽古中にはダンスを踊ることが始めての児童ばかりであったにもかかわらず、普段はおとなしい子どもがクラスをリードしたり、目を輝かせてダンスに取り組む姿は学芸会の本番でも多くの観客の拍手を生み出した。
 また、同学年の特別学級の児童もダンスに取り組み、その児童を中心として、4年生のほぼ全員が脇を固めて一緒に踊ることになった。4年生全体が協力し合って二つのダンスを披露した。

6月28日 11:30〜12:15 4年生全員でのダンス体験。
7月29日 学芸会の発表のための振り付け。担任が積極的に振り付けを覚え、講師のいない期間にもクラスの全員と振り付けの稽古に励んだ。
7月30日 特別学級児童向けの振り付け。本人の希望を最大限に活かしながらも、一緒に踊る4年生たちとのフォーメーションを創った。
8月19日 4年生全体に対するフォローアップの振り付けレッスン。






2005年度

●音楽
  アーティスト:大森智子(藤原歌劇団・ソプラノ)
          川本充代(ピアノ伴奏)

 小学校から、学芸会に歌う全校合唱曲の指導とソプラノによるアート体験の要望があったため、日本オペラ振興会のマネージメントでソプラノ歌手をアウトリーチした。今回の大森氏は財団法人地域創造音楽活性化事業登録アーティストであり、全国の学校でのワークショップの経験も豊富である。

10月17日 午後の2校時
  対象:3年生から6年生までの49名
 前半をミニコンサート、後半を歌唱指導、最後にピアノの仕組みを体感するプログラムとした。挨拶代わりに2曲を歌い上げてから自己紹介。歌で表現したり、誰かに伝えることの大切さを例を交えながら紹介。歌唱指導ではパートに分かれたお互いの声を聞きながら歌うことで、バランスの取れた合唱になることを実感し、アンサンブルの心地よさを感じた。終盤の「夜の女王のアリア」では綺麗なハイトーンの歌声に児童が身を乗り出して聴き入っていた。

   大森:アヴェマリア(シューベルト)
   大森:ムゼッタのワルツ(プッチーニ)
   大森:かんじのテスト(かめやまのりお)
   指導:「新しい世界へ」
    休憩
   指導:「新しい世界へ」
   体験:ピアノの仕組み
   川本:革命のエチュード(ショパン)
   大森:夜の女王のアリア(モーツァルト)
   大森:花(きなしょうきち)

10月18日 午後の2校時
  対象:2年生以下19名
 全体のプログラムは高学年向けとほぼ同じであるが、低学年ということもあって、より丁寧に子供たちにアプローチしていく。「ムゼッタのワルツ」では子どもたちを誘い込んで楽しさを、「かんじのテスト」では同席している教諭が突然歌の中に参加する驚きをストレートに受け取っていた。

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